「トライアスロンを始めてみたいけど、どれくらい練習時間が必要なんだろう?仕事が忙しくて時間がとれそうもないし。無理そう」
トライアスロンに興味はあるけど、そんな不安があるかたもいらっしゃると思います。
ひとくちにトライアスロンの練習時間といっても、本人の運動歴と現在の基礎体力、走りたいレースの距離、目指すタイムによって大きく変わってきますが、ここでは、「さほど運動習慣のない初心者がスタンダード・ディスタンス(51.5km)を始初めて完走するためにどれくらいの練習時間がいるか?」という観点で記事をかきます。
トライアスロン初心者の練習時間
私の話をすると、初めてトライアスロンレースに出たときの練習時間は下記でした。
- スイム 市民プール30分1km×1~2か月に1回
- バイク バイクジム45分×週2回
- ラン 1km7~8分ペースで5~10km×月に1回
ただ、結局このレースでは、悪天候が不安だった&初めてのレースを完走できる自信がなく、スイムはスキップ(辞退)し、バイク40kmとラン10kmのみを完走。
その3か月後に、同様のトレーニングを続けた後、初めてフルの51.5kmを完走しました。
それぞれのパートについて、詳しく説明していきます。
スイム
私はもともと遠泳に苦手意識がなく、トライアスロンを始めるまでも、1~2ヵ月に1度は市民プールに行き、30分で1km、余裕がある時は1時間30分で3kmを目安に泳いでいました。
クロールでも平泳ぎでも、同じようなペースで、休憩なしで、ずっと泳ぎ続けられる体力がもともとありました。
これは、スタンダード・ディスタンスのスイムパートを完泳するには、十分なペースと体力でした(決して速くはなく、遅い方ではありますが)。
だいたい、スタンダード・ディスタンスでは、1.5kmを45分以内で泳ぐことが求められます。
海はプールより塩水で浮き、かつ、ウエットスーツも着ているので、プールで泳ぐより一般的に速く・楽になります(波の影響などで一概に言えないところもありますが)。
なので、「1kmを30分でのんびり無理なく泳げる」という私の泳力は、最低限のものはクリアしていました。
そして、大病明けに好記録を連発している池江璃花子さんなどを見てもわかるのですが、泳力というのはしばらく泳がなくても急速に落ちることはあまりありません。
つまり、「1kmを30分で楽に泳げる」泳力さえあれば、トライアスロンのスタンダード・ディスタンスには不安を抱えなくて大丈夫です。
逆に、「1kmを30分で泳ぐのはきつい」という人は、しばらく集中してプールに通ったり、スイムクリニックでフォームを矯正したりして、エントリー前に泳力をつけることをおすすめします。
海のスイムではコースロープがなく進行方向を確認する必要があるので、クロールで前で息継ぎができるスキルも身につけるのがいいでしょう。
また、トライアスロン挑戦の前に、オープンウォータースイミング(海や川を泳ぐレース。スイムのみ)や、アクアスロン(海や川を泳ぐ+ランのレース)に出場し、海のスイムに慣れておくことを強くおすすめします。
海は先述のとおり体が浮きますし、ウエットスーツを着て泳ぐのも少し慣れが必要です。
また、プールのように水が透明でなく大抵濁っているうえに、コースロープがなくまっすぐ泳ぐのは困難です。
波があったりくらげがいたり、会場によっては藻がからみついてきたり、真夏は水温が高く不快だったり、塩水で口が塩辛くなったり、いろいろな違いがあります。
海や川で泳ぐことに慣れたうえで、トライアスロンに挑戦しましょう。
バイク
実は私にとって、一番不安だったのがこのパートでした。
レースの1か月前にロードバイクは購入したものの、家の近くに練習できる広い道がなく、慣れないままレース当日を迎えることになりそうだったのです。
そこで私が活用したのが、暗闇バイクジムです。
全国にある専門店や、大型ジムの1レッスンとして開催されているもので、だいたい45分を1コマ、20~30人くらいでインストラクターの声掛けに従い音楽に合わせて漕ぎます。
部屋が暗いので他の人の視線を気にせず集中でき、不思議な一体感と高揚感を得られ、終わった後は汗だく、大きな爽快感を得られます。
これを、週2回(続けられる最低限として設定しました)続けることで、自転車を漕ぐことへの不安感をなくしました。
実際このジムを続けたことで、バイクに座る姿勢が整い、ふとももは大きく筋肥大し、バイクパートで疲れにくくなったので、ある程度の効果はあったと思います。
そしてレース当日、走りながらギアチェンジを体で覚え、完走しました。
あとは、レース中に段差に気を付ける、他の人と並走しない・近づかない、ということに気を付けて、ゆっくりめに走れば大丈夫です。
ラン
ランは私にとってはそこまで不安要素はありませんでした。初レースの前まで2年ほど、月に1回、5~10kmのランレースに出るようにしていたからです。
10kmはゆっくりめに走っても1時間10分を切るようになっており、それなら、スイムとバイクのあとでも、栄養補給をしていれば大丈夫だろうと思っていました。
ただ実際の初レースでは、ランパートのときにハンガーノック(カロリー切れ)になり、急激に体力が落ち、補給所の高カロリーゼリー飲料を飲むことで回復し、どうにか完走した形ではありました。
また、長時間のバイクのあとのランでは、肩や背中がわりと痛いということも思い知りました。
ただ、走ること自体は慣れており、その後もランは(とってもきつくて苦手なパートではありますが)、きつくてリタイアした・したくなった、ということはありません。
どのパートでも言えることではありますが、ランは特に日ごろの練習が必要です。
走るのが好きな人は、毎週10kmでも走ればいいのですが、私のようなもともと持久走の苦手な怠けものは、一人で走るモチベーションがあがりません。
私は毎月近所のレースにエントリーすることで、月1回のまとまったランの機会を作っていました。
最近は大会の開催は減っていますがオンラインレースもありますし、近所のランサークルにはいるという手もあります。
とにかく走る機会を多く作って、「10kmくらいならいますぐ走れと言われてもラクに走れる」くらいの体力をつけておきましょう。
逆にスタンダード・ディスタンス挑戦のための練習であれば、20km(ハーフマラソン)を完走する必要は個人的にはないと思います。
15kmを超えてくると、ひざや関節の痛みなどがでてきて、他に心配することが増えるからです。
トライアスロンは合計51.5kmですが、スイム・バイク・ランで使う体の部位が違うので、そのような心配をして対策をする必要はありません。
本番が10kmなので、10kmのランに耐えられる体を心を作っておきましょう。
ちなみに現在の私の練習は、下記です。
- スイム 市民プール30分1km×1~3か月に1回(夏は多め、冬は少なめ)
- バイク バイクジム45分×週3~4回、ロングライドは半年に1回
- ラン 1km8~10分ペースで5~10km×月に1~4回(春・秋は多め、真夏と冬は少なめ)
バイクジムが楽しい+プール遠い+ランは気候に左右、ということでかなり偏りがあり、あまり理想的とは言えませんが(笑)、続けられるペースであることを最優先し、体調不良や旅行以外の際はこれを続けています。
さらに、毎年最低2回はトライアスロンレースに出場し、完走することもトレーニングの一環としています。
まとめると、次のとおりです。
- スイム 1kmを30分で楽に泳げる泳力
- バイク バイクジムを週2回やりきる体力、ギアチェンジ能力
- ラン 10kmを1時間15分程度で走れる体力
これらをつけられるよう、最低でも、1日30分、週3回程度の練習メニューを作成し、3か月程度続けてみましょう。合計時間でいうと、30分×3回×13週=19.5時間、つまり20時間程度です。
これくらいでも、習慣的に、かつその時間は集中して取り組めば、スタンダード・ディスタンスを完走できる最低限の体力が身につきます。
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